王立球技場


2003年シーズン展望座談会


出席者:SSKさん、デリックさん、DD戦略研究所長、ドロロン王国宰相、ボヨヨン大王
    THX王国自治相、ルパン3世王国官房長官(電話参加)


同志社

将来に向け重要な年 殴り合って勝て


今年も攻撃主導のチームと言える。やはり殴り合いでの勝利しかパターンは無いだろう。エース
長富が能力が高すぎる為、ラインで勝っているのかバックスで勝っているのか分かりにくい部分
はあるが、攻撃の安定感の無さを考えると後者であろう。長富は関西ナンバーワンRBと言って
も良い逸材だ。今年になってさらにブロッカの使い方が上手くなり独特のウェービングテクニッ
クとあいまって爆発的な走力を見せつける。
昨年4年生が極めて少なかった為攻守ラインの卒業による穴は極めて少ない。しかし思いのほか
強化されていないのが残念だ。確かに攻撃ラインは多少力強さは出てきたものの、まだ物足りな
い。ショートヤードを確実に取るプレーが欲しい。これの有無はシーズンを左右する事になる。
今季を通じての成長に期待したい。
エースRB頼みの攻撃が続くだろう。ラインのパワーが不足気味でパワーで押すのではなくライ
ンがいかに守備を邪魔し、RBに走ってもらえるかという状況なので、プレーセレクションがま
ずいと、得点力も発揮しずらい。その意味ではQB水野のパスの復調は今季の出来を左右するだ
ろう。エース要の他、実績のあるターゲットは残っている。得意のロールオプションを混ぜたバ
リエーションが機能するか。
守備は依然苦しい。下級生が多く未知数。即戦力がどこまで現れるかによる。攻守ともにそろそ
ろ本格的に層を厚くしたい。近年チームの核が下級生から現れるケースが多いのだが、若きエー
スに続く存在が継続して現れない状況がここ数年続いている。確実に一部定着を果し、上位を目
指せるチームへとステップアップする上で今年は重要なシーズンだ。



関西大

蘇るか金鷲 再スタートへの基盤作り

チームとしての戦力がピークだったのは2年前だったのが惜しまれるが今更言ってもしょうがな
い。さて今年はチームの総合的な強化策が開始した年といえる。リクルーティングの強化。スタ
ッフの増員、専任化。グラウンドの整備などのハード面も去ることながら、多くのポイントで梃
入れを開始している。その分、全ての歯車が噛みあうようになるには時間が必要だろう。今年一
気に全ての面でレベルアップすることを期待するのは酷だろう。チームスタッフがチームを掌握
し、「新しい関大を作る基礎づくりを行う」という事を目標とすべき年になる。もちろん残留が
最低限の目的。上位は機会があれば狙えばよい。

攻守ラインが若いのでバックスに負担がかかるが、駒は揃っている。攻撃はQB#8碇と#1堤
。どちらをスタートで投入するか不明だ。そもそも両者の持ち味があまり違わないのが辛い。高
校時ではショートパスの堤、長身・強肩の碇だったが今や大きな違いは無い。WRは超快速#1
7大谷と機動力の高い#19加門が軸。伝統のRBは#22中西が継いでいる。しかし攻撃ライ
ンの経験不足がいかんともしがたい。シーズンを通じてスキルアップしていくしかない。本領発
揮は下位チームとの対戦まで待たなければならないかもしれないが、これは関大にとって好都合
だろう。守備もラインが厳しいが経験者を多く抱えておりアスリートレベルでは決して低くない
分、個々の勝負では見るべきものがあるだろう。これをチームとしてどこまで機能させる事がで
きるかで順位は大きく変動すると思われる。

ここ数年の様子を見ると、色んな事をやろうとして、どれもある程度は出来てはいるものの、「
これで勝つ」という明確なスタイルが見えてこないのが心配だ。強烈な個性をもった選手が現れ
て欲しい。平均してアベレージ以上の選手が揃っている分歯がゆく感じる。リクルーティングも
強化が進んでおり、数年先には近大、立命とアスリートレベルで勝負できるようになるのも可能
だろう。それゆえ能力頼みのチームつくりではなくシステマティックな攻守を展開できるチーム
を目指して欲しい。実際それを狙える環境にあるのだから。



甲南大

苦しい陣容・あくまで残留を目標に。

一番状況が厳しいチーム。QBは若手を起用する可能性が高いが、経験度が圧倒的に不足してい
る。最終的に#5大西に任せることも考えられる。これな昨年からQB#12今川にすこしでも
経験を積ませた方がよかった。大黒柱の#88吉田は存在するものの、彼だけでは勝てないのは
昨年よく分かったはずだ。吉田に続くターゲットも不十分な上、RBが手薄。攻撃にとっては厳
しいシーズンになる。今川を軸にした攻撃がどこまで機能するのか。この整備が遅れれば全敗の
可能性もある。守備も#42山本を核に据えてはいるが、圧倒的に駒が不足している。
キッキングの整備も含めて攻守蹴トータルで勝利するスタイルにもう一度挑戦しなければ、定着
は厳しいのではないか。選手層的に決して恵まれないが、その分フットボールにおける全ての要
因において工夫をこらし対抗していく事がこのチームに求められているように思う。



神戸大

攻守ともパワーアップ 強力守備は史上最強

期待度大。攻守において昨年よりもレベルアップしており、近年ではもっとも充実した陣容だ。
今年のリーグ戦は神戸を中心に回ると考えても良いだろう。攻撃はQB#10江端のパスがレベ
ルアップし、控えQBのRB転向(#33大崎)も成功。昨年活躍したTE#43石原らレシー
バ陣もゲームを作る上で数的に十分揃っている。今年こそ3レシーバのI体型からバランス良く
攻撃したい。攻撃ラインの成長次第では、なかなかのドライブ力を見せるだろう。バックスの層
の薄さは気になるが十分勝負できるレベルにある。

守備においては昨年経験を積んだ強力DLが残っている。中西、家入、池淵と経験のある選手が
並び万全。そして注目は巨漢の藤原。ただし、OL投入の方が特性は生かせる。というよりも春
の段階では、「確かに強いがDLとしては機能しきれていない」事実は否定できない。LBも主
将#55岩田、#6肥田と揃いDBも2年生#25矢野川、インターセプト王#17吉村と実績
組がいる。一列目から三列目までこれだけタレントが揃うのは神戸の歴史上実質初めてではない
か。この陣容であれば「システムの神戸」の持ち味を上位相手にも生かす事は十分可能だ。近年
多く見られた、システム勝負を挑もうにも力負けで成立しないという展開は避けられる。守備が
耐え忍び攻撃は時間消費する。こうなると十八番のロースコアゲームに持ち込める。これは手ご
わい。怖いのは負傷か。ベストメンバーを長く組みつづけられるかが勝ち越しの鍵を握る。開幕
は京大戦。アップセットもありうる。一気に波に乗る可能性もある。



京都大

優勝できる戦力 京大らしさを求めて

攻守ともに充実している。久々に優勝を狙える戦力が揃った。個々の能力に対してはこれ以上を
求めてはいけない。これだけ揃うのも稀だと思ったほうが良い。「勝利はすでに小細工ではどう
にもならないレベルに来た」という事実を、優勝から遠ざかっている間に認識したのだろうか、
攻撃は力づく。守備も前で止める。つまり「タックルとブロック」という基本に立ち帰っての再
挑戦を行うのだ、という主張を感じるこの春の仕上がりだ。コーチ藤田復帰2年目のシーズンだ
が、システム面で上手く機能するかどうかも一つのポイントでもある。

攻撃はOLが良い。サイズもバランス良く、コンビネーション、ズルさ、とも十分だ。またパス
ターゲットも豊富に残る。WR陣もさることながらTEは#96金光、#89東とも大型で捕球
力もアップ。久々に良い条件が揃った。QBは走力はアベレージながらも強肩の#4川並。従っ
て伝統のオプションは封印の傾向にあるがシンプルに力で押すランと、これもシンプルなプレー
アクションとの組み合わせの、いわば原始的なフットボールで力勝負を目指す姿勢が見られる。
ギャングボーンに代表される小細工は基本的には取り組まない。せいぜいアイランドまでだろう。
川並がハドルで強力なリーダーシップが発揮できるか。QBではなくエースとして存在する事が
求められる。控えのQB佐竹、金沢とも走力はありショートパスの力がついているので登場の機
会が増えるだろう。オプションのパッケージはこの2枚のQBが指揮すると思われる。
一方の守備はDL陣が強力。DBも悪くないが今年は「前で止める」という明確な方針でいる。
心配なのはLBか。状況によっては#97近藤のILB復帰も考えたい。DLのメンツが揃えば
十分ありうる。2列目に居るほうが相手は避けにくく怖いと思うのだがどうか。

さて問題は精神面か。優勝を知る物もKG戦勝利を経験した者も居ない。昨年の関京戦は勝てた
試合だった。今年春の関京戦も勝てた試合だった。この2試合に結果として勝利できなかった点
を問題視している。勝ち方を忘れたとは言いたくないが、不安を憶えるのは攻撃、否「チームに
おける精神的な支柱」が見当たらない点である。ある種狂気を秘めた強力な個性がこのチームに
は必須だ。だれが現れるのか。現れなければ、善戦するも優勝できずに終わることになると思う
のだが。来年、来年と言われつづけてきたが、その来年とは今年である事をどこまでチームとし
て認識しているのだろうか。

もう一つはプレーの実践力だ。KG戦では中央のランは出つづけたがオープンは完封された。一
方東大戦では中央は止められオープンは出つづけた。一見矛盾するように見えるが、相手守備体
型やスタイルの違いに対してあえて積極的なアジャストをしなかったと見るか、そこまでの余裕
が実はまだ無いと見るか、どちらかの理由でそうなっているのだと思う。このどちらなのかは不
明だが、「適切なタイミングで適切なプレーをチョイスし、且つ(最も重要だが)それを実践で
きるか」が重要だ。自信を持ってこの点で問題なしと言い切れるだけの材料が今の所見つからな
いのが怖い。

答えは開幕戦で出るだろう。難敵神戸相手にどこまで精神面の充実を見せられるかだ。



近畿大

良くも悪くもびっくり箱 どちらに転ぶのか

主戦QBとして昨年定着したエース安部が落ち着かない今春、やはり今年も読みにくいチームだ。
レシーバはエース格#82三谷に加え大峠が登場。QB#16の宿命(森分、綾部)であるが面
白い存在になる。RBは大黒柱の土手下。パスも投げたりするが基本はど根性ラン。1年時から
ある種、酷使されてきた逸材だが今年も爆発してくれるだろう。ただし土手下が1000ヤード
走るようでは優勝戦線には絡めないのも事実だ。

守備はDLがやや苦しいか。かつてのように力でねじ伏せるタイプがいないのでスピード勝負に
なるだろう。LB中里は近大伝統の勢いのあるLB。高い能力で広い守備範囲と確実なヒットを
見せる。DBも中路、西村とアスリートが揃う。後ろで勝負は可能な守備陣であるが、前から崩
されると厳しい。2列目を生かした守備システムの構築が期待される。アスリートレベルでは立
命と勝負できる数少ないチームである。これに守備システムが絡めば面白い展開になるのだが、
今年はどうか。

近大の過去の歴史を見ると。今年は怖い年かもしれない。近大の予想は毎年苦労する。良くも悪
くも期待を裏切ってくれるからだ。順位予想など、特に過去のサイクルから考えだほうがかえっ
て当たるような気がする。それだけわからないチームなのである。昨年KG、京大に勝利したの
は立命と近大しかいない。しかし優勝はもちろん2位にもなっていないのである。昨年の経験が
自信につながるのか。それとも過信となってマイナスに働くのか。初戦で爆発できれば「気まぐ
れデビルズ(EASY DEVILS)」返上なのだが。



KG

優勝を口にする前にやるべき事をやれ

攻撃は結局セットバックとの併用になるだろう。得点力のある現在の立命相手にボールコントロー
ルでのロースコア勝負はすでに厳しくかなりに失点を覚悟した上で、なおかつ勝利するシナリオを
考えなければならないが、それには自身の得点力の向上が必須でこれがSG採用に繋がっているの
だと思う。しかし....
QBがSGを使いこなせていない。プレーしているだけで、ドロップバックの手間を省いた程度に
しかなっておらずタイミング、コントロールとも未完。当然SGからのランも完成度、バリエーシ
ョンとも不足している。セットバックからのプレーの方が、このあたりまだマシになっている。
もっともSG初挑戦で正味1年も無い準備期間で高いレベルを求める自体無理があるのだが、春の
最初の試合と最後の試合でもレベルの変化が見られないのはあまりにも寂しい。具体的にはOLの
強化が急務だ。それだけでかなり変わるはず。バックス陣は徐々に落ち着くと思うがOLの整備が
進まない限り苦しい展開を強いられるだろう。ある程度の経験を持った選手でそろえているのに、
成長が見られない。OLはこれで一杯一杯なのだろうか?
WR陣は昨年よりも充実してきた。#84五百川、#9福井、#82美濃部と揃う。ただしいずれ
も#18中島に比較すると一枚落ちる。中島は捕球力、スピードだけでなくブロックの意識とキャ
ッチ後のランの意識が極めて高く、この面で他のWRとは全く異なっている。SGのコンセプトを
最も理解できている。一方のTEは#89は相変わらずスピード不足で、#85はパワー不足で変
わり無し。RB陣は#7は上手いが遅い。デイライトなら#6の方が上か。#33三浦あたりに期
待したいがこれも結局核不在。攻撃の収穫は一部のWR陣程度。その他は昨年の秋のレベルから向
上したとはいえない。秋と同じコメントを書かざるを得ない。確かにQBなど昨年は「1年生とし
ては合格」と言えたが今年は「エースとしてはまだまだ不足」と言わざるを得ないのだが、それに
しても成長したという実感を感じないのは何故か。

守備の収穫はDLが計算できるようになった程度か。負傷の佐岡の復帰が間に合う様であれば万全
だろう。ル−キー市村の加入でこれを軸に3DLをこなすメンバーは揃った。主将今東、スピード
のある田頭、石田(弟)に生田が使えると面白い。KG守備の中核をなすLBは数はいるが決定的
な存在はいない。LB河合の守備範囲は注目だが、これもルーキー柏木、2年生#49井上あたり
を軸に据えるしかない。DBもCBはまずまずだが、ここにも1年生を起用する必要がある。SF
陣もSSに不安を残す。いずれにしてもリスク覚悟で1年〜2年の積極起用を行うだろう。DL市
村、生田、DB岩城、LB柏木あたりはフル回転するだろう。何よりもエースLB平郡の急逝でL
B、否、守備自体再編成になる。

とにかくチームとして機能するところまで完成していない。ベストの度合で成長したとしてギリギ
リ上位と勝負できるレベルになるかどうかと言ったところだが、その成長している印象が全く見ら
れない。技術的にも精神的にも昨年のまま。これで勝てると思っているなら大間違いだ。

ちなみに触れたくも無いがキッキングはKG史上最低の出来。パントもFGも駄目。スナップもキ
ックもプロテクトも駄目。何の為にネットがサイドラインにあるのか。使わないなら試合会場に持
ってくる必要は無い。倉庫に置いておけ。スナッパーは練習しているのか。サーチは何度もパンタ
ーへのプレッシャーを許すな。キッキングの怖さを嫌という程味わったチームの姿とはとても思え
ない。こんなところを一つ取っても「昨年のまま」なのだ。やらなければならない事は山ほどある。



立命大

確かに強い。強いのだが....。

ほぼ入れ替えとなるOLの迫力不足は否めない。もちろんそれでも強力ではあるのだが、昨年の完
成されたメンバーに比較するとやや苦しいか。そして肝心の控え選手にも不安は残る。SGの弊害
と見るべきか。極めて高度なコンビネーションを強要される為、控えも含めて全てのOLに対して
高いレベルのものを求める事ができない状況なのかもしれない。継続してこのシステムを採用して
いくには、スキルアップの仕組みが必要だが、条件面で厳しいものがあるのかもしれない。
開幕以後下位チーム相手には昨年と同等のスコアで勝利を重ねるだろう。問題は中盤以降の攻撃の
否OLの出来になる。具体的には、今年はQBが積極的に動くのではないか?と思われる。昨年の
ようにハンドオフORパスを投げる。だけで乗り切れるかどうかは疑問が残る。守備は昨年並みの
威力は十分。昨年より若干負担は増えるが許容範囲だろう。優勝の可能性は極めて高い。

そして可能性が極めて高い分、面白みも少ないので、「SGのとめ方は無いのか?」という議論が
必要だろう。

フラット5に代表される「後ろで止める」タイプはすでに限界が来ていると思われる。通常のSG
ならともかく現在の立命SGに対抗するにはこれでは厳しい。コンセプトとしてはこうだった。
「一発ロングゲインは絶対許さない。後ろのゾーンのシームを消す。その為5DBがほぼ一列に並
ぶ。ショートパスは通してもいい。しかしそこから走らせない。キャッチしたら即食い止める。ド
ライブに時間をかけさせろ。そうすれば得点力は下がる。又プレー数も増える事からターンオーバ
のチャンスもある。」というもの。アライメントこそ奇異に見られるかもしれないが、これは伝統
的なSG守備の一つのポリシーに忠実に従った方策である。逆に、その発想から抜け出ていないと
も言える。一昨年はそれなりに威力を発揮した。京大が勝利できなかったのは攻撃のドライブ力不
足が原因で、この守備のせいではない。

しかし昨年立命はこれに対する答えを準備した。というより攻撃のレベルが上がって守備側がしん
どくなった分、一気に差がひろがって、当初期待したほど機能しなくなったというのが実体だ。
何の事は無い。DBの手前で落として、後はキャリアの能力とブロッカのコンビネーションで一気
に振り切ってしまうという方法だ。得にシームを消す為ゾーンを細かく割った分、そのゾーンを横
断するかのようなルートを高速で走られると厳しくなる。又そもそもこのSGはキャッチした後の
ランを重視している。キャッチしたレシーバの前に湧き出るようにバックス、ラインが現れことご
とくディフェンダをなぎ倒す。いわば、スクリメージからかなり離れたところで壁ができるスクリ
ーンプレーのようなものだ。フラット5はディープ、特にタテの脅威を防ぎ、ドライブされても時
間を稼ぐ事を主眼としたプランだった。しかし上記のような対策から、これでもロングゲインを許
すシーンが現れ、結果的に思いのほか得点力を削ぐには至らなくなった。

これに対して今年NEW ERA BOWLで青組が見せた守備は何かのヒントになりそうだ。こ
れは打って変わって「前で潰す」タイプだ。SGダブルスロットに対して3−4でOLBが片側の
SBをカバー。FSを一枚残す。3LBに加えこのFSも含めた4人を場合によっては一列目まで
上げてくるディガイズ。最大6人によるパスラッシュの可能性から3メンラッシュで3LBが一斉
にドロップする可能性まである。そもそもSGはパスオリエンティッドな為OLはパスプロに下が
るケースが多い。自分の担当するエリアをOLは必ず守る。正面にデフェンダがセットしていれば
当然。しかし逆にいなくても自分のエリアを守る動きをしなければならない。これが構造的な弱点
である。自分の対面が自分を無視して全く違う動き(他所からラッシュする、パスカバーに下がる)
をしてもこれに付き合う訳にはいかないのだ。これを突くのがゾーンブリッツを代表とするブリッ
ツパッケージだ。NEBではスナップ前に3LBが一斉に前後に動き、ある時はDL、LB一体と
なってペネトレートを試み、ある時は実質最後までラッシュしたのは2DLだけだったケースもあ
る。守備アライメントを観察しパスカバーとパスラッシュのパタンをプレスナップの段階でQBが
判断する事を許さない点でかなりの威力がある。
そのかわり、投げられた場合のリスクはある。毎度毎度プレッシャーが必ずかかる訳でもない。十
分なタイミングと体勢で投げる事もあるだろう。それにレシーバパスルートの工夫とDBのミスに
よってはレシーバは捕球できるケースがある。往々にしてそれはロングパスになる。パスそのもの
の距離は短くてもその後、一気に持っていかれてしまう可能性も高い。これらのリスクをどう考え
るかだ。特にコンビネーションの完成している組み合わせが存在する為、一試合に数回はロングゲ
インを許す事を覚悟する必要がある。
また他にも問題は残る。立命SGはSGだが従来のSGとは異なりランの比率が高い点。ペネトレ
ートした場合のドロー対策。そして守備側のタレントの問題が残っている。DB並のスピードのあ
るLBを複数揃えたいしDLには強力なパスラッシュが求められる。一試合を通じて最後まで繰り
返せるだけのスタミナ=選手層も必要なのだ。

方や立命SGはこの守備に対する回答が必要だ。ダウンアンドディスタンスによって明確なプラン
が必要になる。この守備が機能した場合3RDロングを強いられるケースが増える。こうなると攻
撃側もプレーが絞られ守備はさらに積極的になる。それをさらに突破するプレーを攻撃は準備しな
けれなならない。同時にそもそもそういうシチュエーションにならないよう逆に攻撃が3RDショ
ートを作り出す事が重要だ。単純に考えると第一ダウンでQBキープ。これで6〜7ヤード取って
おけば後は楽になる。また勇気を持ってQBもしくはRBのドローをコールする事も有効だろう。
こう考えると往年の日大のQB松岡のプレーを思い出す。


その他

・競技人口が増加に転じている。全チームの足し算をしていないが、新人の数も増えてきている。
 これで現象に歯止めがかかったという程ではないが、喜ばしい。そもそも何が原因か不明だし、
 因果関係もわからないのだが、某週間マンガ誌連載のアイシールド21は一役買っているようだ。
 リクルートする側にしてみると
 「あぁ、あのアイシールド21の..」
 「そそそ、そうそう!あれだよ、アレ!読んでる?」
 と説明の手間が大幅に短縮できるだけで大助かりなのだそうだ。
 また内容もプレーのシークエンスだの何だのという戦術的な話は出てこないがポジションの特性
 を表現するという点では十分で、この競技の特長を上手く伝えているといえる。フットボールの
 特長である戦術面を語る前にセナが卒業してしまい連載終了というのが最も怖いシナリオだが、
 ここはドカベンを見習って大学編、社会人編、ヨーロッパ挑戦編と続け、日本に大NFLブーム
 が訪れるまで頑張ってほしい。

以上

ボヨヨン王国
BOYOYON KINGDOM