王立球技場


関京戦2003春


京大のラン攻撃の迫力が目立ったゲームだった。特にFBの中央突破が最初から最後まで出つづけ
た。京大攻撃の強さのバロメータであるこのプレーが完成されているという面から京大攻撃の今季
の仕上がりの早さとKG守備の整備の遅さが確認できたと言えるだろう。KG守備のタックルが甘
いのに比べると京大守備の方がまだ思い切りが良かったように思う。

実は要所でKG守備はエイトメンだった。3−5−3。エイトメンの時は京大のランをほぼ封して
いる。さすがに中央もオープンも止めて見せた。ロスタックルしてるのは、ほとんどエイトメンだ。
京大がパスでロングゲインしたプレーが有ったがあの時も実はエイトメン。あの時京都は自陣深く
だったので「ファーストプレーはランだろう。実際ランが出てるし。」という事でKG守備はエイ
トメンで構えたのだろうが、これが大外れ。さらにWRがワイドにセットしてるので「スラント来
たら怖いな」と思ったらスローバックスラント。スローバックの分、CB高倉の反応が一瞬遅れた。
プレーサイドのOLBは下がりきれなかった。痛いのはSFのタックルミス。追いついたのはバッ
クサイドのCB#8。3−4で2デープならダウン更新で済んだのだろうが。

さて京都が前前ですなおに押してくるとLBまで一気にいかれる状況が続いた。3−4でアライメ
ント変えてLB2枚をペネトレートして止めに行ってもUBとのタイミングが良くてすれ違ってし
まう。その分余計に行かれる。TBのプレーなら辛うじて絡める。
とにかく京都のOLの中3人が強い。FBとのタイミングも完璧。FBプレーの際はC,Gのダブ
ルによりKGのDLの中核MG#95が常時完璧に取られていた。しかもかなり押し込まれる。こ
れにKGのMLBは巻き込まれる。ゆえにこの京都の中3人でMGとLB2枚を確実に処理できる
事になる。FBはトップスピードでLOSを突破する。OLBのタックルミスは即ロングゲインに
なるのだ。肝心のKGの両DTは京都の両Tに邪魔されFBへ向かえない。向かえてもタイミング
の速いFBの飛び込みに確実にタックルできない。LBがペネトレートしても、やはりすれ違って
しまう。止めようが無い。これは大きな武器だ。
インサイドプレーは確実に出つづけた京都だが(判断は微妙だが)オープンはほぼ完封された。エ
ンドとエンドの間であれば京都のランはロスすることは殆ど無かった。否、タックルとタックルの
間と言ったほうが良いかもしれない。しかし逆の言い方をすれば、FBのダイブ、これよりタイミ
ングの遅い中央のプレーは出にくかったとも言える。実際TBのプレーはごくわずかだったし、T
体型からのプレーも目立たなかった。
QBが久々に(?)走れないQBなのでオプションを封印しているせいもあるが、もうすこしラン
のバリエーションは増やしておきたいところ。もちろん、秋には確実に準備してくるだろうが。春
の段階でこれでけ完成されたランプレーを、しかも力勝負で勝ちに行くプレーでゲインし続ける事
ができる京大は久々だし恐ろしい。何しろ川並が投げなくてもドライブできてるのだから。投げら
れないのではなく、十分プロテクションも持つしWRも成長して十分ターゲットも揃っているにも
関わらず投げないのである。

さて前半の3−4のうちDLは#95を中央に左右を#90,#44。後半から中央を#57、左
右を#95、#90(又は#44)とした。ルーキー#57の投入により各自のポジションに対す
る適性の確認をしているように思えた。LBも途中から#53を#45に代えて投入。まだ固定で
きるメンバーは少ない。さてこの京都FBの中央突破を止めるには3−4ではなく4−3か。少な
くとも4−3ルックは必要だと思う。京大OL中3枚とこれに続いて飛び込んでくるFBをスロー
ダウンさせるには3DLでは厳しいだろう。KGはおそらくそれを考慮済みだったろうが最後まで
3DLを崩さなかった。同時に4−3に切り代える事による穴を恐れたのかもしれないが。
問題はLBの整備遅れにつきる。#5、#45を軸にしているがOLBの2枚が上手く機能しない。
それとSFがプレーに絡めていない。SFで1枚、LBで1枚中核になる選手が出て来ないと穴を
抱えたまま秋のゲームに突入する事になる。
*などと書いていたら横浜での対明治戦の情報が入った。#57のLB投入があったらしい。LB
 、SFのポジション変更も含めての戦力整備が急務だろう。

さてKG攻撃VS京大守備だが...攻撃は単調。プレーを隠すというより絞っている。練習の域
を出ない印象だ。厳しい見方をすれば昨年の3年生までのメンバーが昨年の力量のまま、新体型で
プレーしているだけだ。成長が感じられないし怖さも無い。
SGからのランは全て同じといって良いだろう。右の#77を左にプルさせるプレーばっかり。ハ
ンドオフを受けるRBはそのままLOSに向かうときも有るが、一人カウンターチックに逆のOT
に向かう事もある(デイライトさせてるわけじゃないと思うが)。しかし左サイドはモタない。前
が京大#97だというのもあるが取られっぱなしだった。よって左のオープンは終始出ない状況。
#77をプルさせて左のOTを突くプレーでやっと左がでる。というレベル。ちなみにKGはトラ
ッププレーも1度見せている。
さて、たまにランでロングゲインしてるが、これはWRのブロックが成功してるからだ。4レシー
バで左サイドに3枚並べる。右は1枚。内側の2枚が#18,#85でWBチックに(2枚バンチ
)セット。で右77が左にプル。#18,#85がLB,SFを取りに行く。これで7〜8ヤード
取れていたプレーがあった。#18はよく当たってる。よい選手になった。

KGの攻撃パッケージでこの春多用しているものがある。体型はトリプルもしくはダブルスロット
から展開する。

○       ○○○○○     ○
   ○  ●
      SB  ○QB
           ◎RB

1:外へモーションするSBにヒッチパス。そこからオープンをスピードで切れ上がるヒッチスイ
  ープ。SBはスピードのある#18,#9,#1などが入る。
2:上記をポンプアップフェイクとしRBに渡すドロープレー。
3:上記ドロープレーをフェイクしたプレーアクション。
4:1をポンプアップフェイクしディープへ走るSEへパス。
となる。秋にどこまで使うかは不明だが、なんとかしてランプレーを出そうという苦労の跡が見ら
れる。

さてKGランの確立はOLがどこまで成長できるかにかかってるがSGで進むにはWRのブロック
を生かせるかが問題だろう。ダブルスロットなどの4レシーバでマンカバーを強いてブロックで勝
利。RBがLOSを突破すればある程度ゲインできるという考えだ。スピードとブロックで期待で
きるのが現在は#18程度。#85はもっと上手に当たらないと厳しい。ワイド系の経験が浅いの
でLOSならともかく浮いているディフェンダを取りに行くのがもう一つ。さらに言うとブロック
を有利にするにはレシーバに満遍なくショート、ミドルのパスを決めておかないとダメ。これらは
ズバリ立命のSGと全く同じコンセプトになる。立命とはタレントレベルで差があるので、KGの
実践力で秋までにどこまで完成度を高められるかが問題。立命が2年以上かけてやっと完成させた
ものを正味1年弱でどこまでやれるかだ。
右サイドのオープンでKG#7が快走したプレーがあったが、この時は皆よくブロックしてた。I
体型だった。ただし、かつての華麗なブロッキングを見慣れた目にはかっこ悪く映った。ブロック
には成功してるが、総じてドンくさいブロック。まだOL再建に時間が必要だろうと思わせる光景
だった。
個人的には押せないOLでSGに取り組んでも優勝はできん。もうそんな時代では無い。と思って
いる。少なくとも今のOLと今のプレーでランが出ても意味が無い。ドローとトラップでしかラン
が出ていないのだから。この程度では上位チームには通用しない。OL強化が急務だがあえてパワ
ーを必要としないプレーしか取り組んでいない。これでは強くならないだろう。KGはスクランブ
ルがほぼ完封されている。これは京都のDLがKGOLをコントロール下に置いているからに他な
らない。KGSGの成長は楽しみでもあるが、中途半端に終わらないようにしてほしい。

京大守備は良いところと悪いところが出た。中島へのTDパスを奪われたファーストプレーはSF
の明らかなチョンボ。コーナーに抜けた中島に誰も付いていない。これでは独走になる。また同じ
くSE中島へのアウトパターン。クッションが深い上にスタートと同時にCBが下がりすぎ。これ
はアウトが楽に通る上にキャッチアンドランも大きく許す事になる。一方当たりの強さはKG守備
と比較して一枚上だ。京大ファンに言わせるとまだ甘いのかもしれないが、現時点では合格だろう。

双方ともに隠すべきところは隠し、確認すべきところは確認し、試すべき事は試した。秋に向けて
ゲタは履けるだろうが、京都の方が基盤がしっかりしている分、上積みは確実に積めるだろう。細
かい修正点はあるものの、精度の問題で根本的な問題では無い。久々にベラボーに強い京大が秋に
は登場しそうだ。方やKGは総じて攻守ともに秋に間に合うかどうかギリギリだ。間に合えば優勝
争いに絡めるが、それは春シーズンが終わった段階でどこまで伸びているかによって答えは出る。

以上


ボヨヨン王国
BOYOYON KINGDOM