王立球技場


2004年第三節観戦記



大王の観戦記



KG VS 神戸大

苦戦を予想されたKGだが、スコアとしては大差をつけての勝利となった。印象として一言で言えば、ある程 
度の準備をしてきたKGが本来の力量差以上の点差をつけてしまった試合といえる。            
 
前節で立命SG相手に好守備を見せた神戸であるが、これにKG攻撃がどこまで対応できるかが全てのポイン 
トだった。KG攻撃の準備を印象付けたのはファーストシリーズで見せたQB#14河野のダッシュからのミ 
ドルパスである。QBに対してラッシュする神戸フロントに対してSGでロングスナップを受けたQBが3歩 
ドロップバックする。DEはそのポイントに向けてラッシュするのだが、タイミング良くQBは前方にダッシ 
ュし、ラッシュをかわすと、そのままランニングスローする。結果#9へのパス成功となりダウン更新を果た 
した。このプレーは以降も試合を通じていくつか散見され、QBを#10へスイッチしてからも見られたプレ 
ーである。                                             
またレシーバに関しても前半から意外なほどあっさりとフリーにさせることに成功している。狙いは明確だっ 
た。ディープに2枚のターゲットを送り込むことにより2枚のSFを奥に引っ張り上げる。そしてアンダーと 
ディープの切れ目にタイミングよくターゲットを送り込む。このLBが下がりきれないエリアに#81や#1 
などのインサイドレシーバが飛び込むパターン(第一、第二シリーズでキーゲイン)。もしくは一斉にターゲ 
ットを奥に走らせ、1枚だけカバーしにくいアクロス系のコースでアンダーを横断するようなルートをとらせ 
一対一で抜かせるというもの(#84へのTDパス)。また神戸フロントのプレッシャを予想しセフティバル 
ブ的なポジションに1枚残すパターンも見られた。これはスクランブルから投げられ、結果、ロスするプレー 
をプラス4ヤード程度に変えてしまう事に成功している(#83,#94)。神戸のパスカバレッジを考慮し 
てフィールド一杯につかったパスアタックを展開することに、「一応の」成功を収めている。        
                                                  
攻撃陣の収穫はターゲットの増加とQBだろうか。WR#81はスピードがついた。リターナとしても安心し 
て見ていられる。#1のキャッチングも安定し、TE#46韓(1年生)も捕球力、走力ともに高い。#84 
も安定感を維持し、#83美田(2年生)も捕球回数が増えてきた。それぞれキャッチ後に走ろうとする意識 
が高くなってきたように思える。これに#9福井や#42多田羅(2年生)のスピード派が加わるが、RB# 
6田中をターゲットとして計算することができるようになったのが大きい。ヒッチパスを受けてから10ヤー 
ド以上快走するだけでなく、キャッチングそのものが良くなっている。2Qの一発TDパスはRBの位置から 
リリース。ゾーンブリッツで下がったLBとのマッチアップに完勝し右サイドラインを疾走。ディレイでダウ 
ンフィールドに出た分セカンダリのカバーが遅れてフリーに。そこにダッシュから投じられた難しいパスを捕 
球。一旦バランスを崩しながらも立て直し、エンドゾーンまで走りきった。                
一方、QB#14は自信をつけた、と言うより、良い意味で「開き直った」姿に見えた。もちろんコールやプ 
レーで本人の持ち味を生かせるようにされている、もしくは本人にとってプレーしやすくアレンジされている 
という印象はあるのだが、それでも思い切りのよいプレーには好印象を持った。従来、スプリントしてのパス 
はコントロールが乱れ勝ちで、サイドへのパスが浮いてしまったり、流れてしまったりしたのだが、この試合 
では、まずサイドのパターンは少なめになっている。同時にスプリントした場合、必ずしっかりJターンを切 
っておりLOSに対して正対した姿勢からターゲットに投げ込めている。くるくる回ってはいるが投げるとき 
は正面を向いて投げられているのだ。これに前出のパスツリーの工夫が相まって好調なドライブを率いる事が 
できたと言える。                                          
またこれまで記憶にないプレー、フォーメーションを見せており、シーズン後半にむけての仕上がりの良さを 
確認できた。SGからQB−RB−WRとわたるリバースプレー。サイドスクリーン。そして両TEローンバ 
ック&ツインのSGもくりだした。7人プロテクションでQBを完璧に守り、アウトパターンで確実に決める。
また7人ブロックで強引に中央突破するなど、面白い試みである。(これはSGでありながら無理やりランを 
出す方策として数年前に王国でも記述した記憶がある。)                        

では手放しでKG攻撃を褒められるかというと、そうではない。不安は残っているのだ。          
若干脱線するが、今年のKG攻撃の肝はどこにあるのだろうか?                     
本来走力が持ち味のQBに無理やりパスを強調させ、パッサーとしての評価の方が高いQBにキーププレーを 
強調させている。QBが変わってもプレーそのものに傾向を与えないという姿勢だというが、これは何が狙い 
か?某雑誌ではクローンだと報じており、「立命等の強豪相手では事前に傾向を与えていては勝てない」とい 
う主旨のコーチ談話を載せている。果たしてそうか。                          
そもそも両QBのランニングスタイルは大きく異なる。スピードにのれば強い出原と加速力とカットバックで 
一対一で抜ける河野では持ち味そのものが違う。出原にインサイドを突かせても厳しいだろう。私見だが両Q 
Bで同様のプレーをさせるのは某誌の報じるような「積極的な理由」では無いと考えている。実はこれは苦肉 
の策なのではないだろうか。                                     
従来のこのチームのスタイルとして2パターンある。一つはQBによって傾向を強めておき、勝負どころで逆 
のプレーをコールするやりかた。もう一つは傾向を無くし、圧倒的な量のプレーバリエーションを見せつけ相 
手守備に膨大な準備を強いらせ、実際の対戦では、これらをマイナーチェンジしたコールを混ぜて相手の準備 
の効果を最小化させてしまうやりかただ。                               
しかし、今回はいずれも当てはまらないような気がする。その理由は、ここまでの試合を見た結果、今年のK 
Gは、「結局QBが積極的に走らないとドライブできない攻撃になっている」点から想像できる。この試合で 
もファーストドライブでキーゲインになったのは3rdロングシチュエーションからのスクランブルだったし、
2QにはQBのスクランブルでTDを奪っている。また3節終了時点でのQBのラッシングヤードとしてはK 
Gとしては今年は異常なまでの距離を稼いでいる。本来ラッシングはRBの仕事でありQBは負傷のリスクか 
ら極力走らないでドライブできれば言うことは無い。(SGだってRBが走ってゲインすれば良いのである。)
ましてやQBにかかる負担の多いSGではQBの負傷は即、命取りになる。にもかかわらず積極的にQBが走 
るのはQBが走ることでしか局面を打開できない攻撃に留まっているからではないか。つまりRBのランが出 
ない攻撃なのだ。確かに両QBの走力は十分に高いものを持っている。またSGの特徴として「自分以外の味 
方選手が全てブロッカとして一対一で勝利すれば、QB自身が最後の一枚を振り切って走れば必ずTDになる」
という「10人ブロッカー無敵論」が、他のフォーメーションよりも当てはまる事は否めない。ゆえにSGを 
採用する以上この両QBを走らせたくなるのは攻撃力強化を考えれば当然だ。しかし、試合を通じてQBが走 
るプレーがここまで多いのは個人的に違和感を感じる。スクランブルを強いられるケースが増えるのはSGの 
宿命ではあるが、加えてQBが走るようデザインされているプレーが見られるのはなぜだろうか。そこまでし 
ないと強豪相手に勝利は難しいと考えての事ではないだろうか。                     
*これは#6,#33などを擁しながら(確かに能力はとても高いのだが)1年生RBを投入せざるを得ない 
 状況からも裏づけできると思うのだが。                               
両QBに同様のプレーを強いるという事は、QBの負傷を織り込み済で,「QBに走らせて勝負する」「QB 
をすり潰してでも勝利する」という方針、いや決意の表れのように見て取れるのだがいかがだろうか。    

一方の神戸守備。この試合でも対SG守備を披露。点差はついたが要所で威力を発揮している点は見逃せない。
うまく機能すればあっさり3アンドアウトに追い込める仕組みである事はパントに追い込んだシリーズを見れ 
ば明白だ。プレッシャーをかけつつ、もっとも警戒すべきQBスクランブルをいかに最小限に食い止めるかを 
考えての守備であった。もちろん試合の早い段階でのQBのスプリントからのミドルパスやダッシュからのパ 
スをゆるしてしまった点は問題だが、最後までQBにラッシュしつづけた点は評価できる。クリスクロスのフ 
ェイクが入ってもQBへのマークは外さずロスタックルに仕留める。両サイドからのラッシュをしかけつつス 
クランブルレーンを絞り、走り出すと同時に追いすがるようにタックルで仕留め、最小限のゲインに留める。 
徹底してフロントがペネトレートし続けた結果、前出のリバースは難なく処理し、サイドスクリーンもQBが 
コントロールを乱す結果となった。パスを許したのはレシーバとDBのマッチアップで敗れたというよりは、 
このマッチアップを回避されレシーバとLBとの勝負を強いられた結果のように見えた。スクランブル以外の 
ランプレーは最小限に近い形で抑えられたのではないか。ただし残念だったのがKGの2バックSGからの中 
央突破を許した点だ。特にハンドオフ後にQBとピッチマンがオープンに対しオプションのムーブメントをア 
フターフェイクとして入れる場合、DEとLBがその方向に大きく流れてしまう。結果中央のフォローが薄く 
なりその分余計に進まれてしまった。もう一つは#33のトラッププレーをあっさりと許した点だ。ペネトレ 
ート守備である以上覚悟しなければならないリスクだったが、良い場所で良いタイミングでコールされ決めら 
れてしまったのが悔やまれる。                                    

さて神戸攻撃対KG守備だが、ここでは要所でKG守備の若さが出てしまった。43で構えたKG守備だが先 
発LBは#49井上、#85橋本、#53柏木という2、3年生。途中から#67遊馬、#97三宅という1 
年生を投入した。幸いフロント勢がある程度のプレッシャーをかけられたせいで、大きく進まれる事は無かっ 
たが、それでもLBがタックラーとして機能しきれたかというと疑問が残る。DBも点差の開いた終盤に#4,
#2の4年生SFを試運転させたが、一方で若いCBが狙われ、結果ツインIからのアウトパターンをことご 
とく許す結果となった。また神戸の2TDはいずれも右サイドのストリークであり、いずれもアサイメントミ 
スから捕った瞬間TDと分かるものであった。#15,#19ともに2年生でありサイズもスピードも豊かで 
はあるが、マッチアップとしては破れたといっても良いだろう。                     
神戸攻撃は終始#10江端がリードした。サイドへのパスがDLに弾かれるシーンが散見されたが、果敢なキ 
ープとパスは健在だった。FBのプレーが1度のロングゲイン以外、殆ど出なかったのが辛いが、現在の戦力 
ではやむなしか。なお#4はスタイルするも出場は無かった。                      
神戸について気になる点の一つにパントのまずさがある。後半自陣深くからのパントは#25のランニングパ 
ントになってしまったのだが、これがチップされ自陣10ヤードの内側でおさえられてしまう始末(なぜかF 
Gで終わるが)。前半もパントが上がりすぎて不利なポジションからの攻撃を許してしまうなど、らしくない 
シーンがみられる。本来、こういう所でミスをしないのが、いや、こういう所で良いプレーを見せるのが神戸 
のフットボールである。神戸がキッキングのミスをしていては上位チームに対しては勝機は無い。      




京大 VS 関大

京大にとっては痛恨の敗戦となった。                                 
未見の人には昨年秋の関関戦の展開に近いといえばイメージがわくだろうか。競った展開の中、得点できる時 
に得点できず、キャッチアップに出るものの追いつけず終わってしまう。しかもイージーなミスで得点機を逸 
しているのが腹立たしい。                                      
京大のファーストシリーズはSBのスピードスイープがノーゲインになるなどでパントとなるが、続く第二シ 
リーズでは#33に連続して持たせ、「今季春から何度も見られたプレー」でズルズルとゲインを重ねる。春 
先から「よく走る」京大ラインのブロックを使い、LOSを超えて加速する。細かいステップワークでエキス 
トラなゲインを繰り返す。パスではカウンターロールからTEへ確実にヒットさせる。最後はキーパーでTD 
を奪う。全く止まる気配の無い攻撃であった。                             

問題は2Qである。順調にドライブを重ね#33が中央突破からエンドゾーンへ飛び込んだ。しかし反則で帳 
消し。フォルススタートだ。しかもラインの反則ではない。FBだ。ちなみにホンの少し動いただけだった。 
結果、FGで終わる。そして前半終了間際、再度得点機が訪れる。プレーアクションからロングパスを投じた。
#82がポストでSFを振り切りエンドゾーン手前5Yでジャンピングキャッチ。胸元に飛び込むストライク 
ボールだった。しかしTD、にはならなかった。落としたのである。FG後の残り時間での大谷のキックオフ 
リターンを警戒する京大は前半終了間際まで時計を回す。TOを取得しFGを蹴る。成功。本来は2本3本の 
14−21で前半折り返しのはずであったが実際のスコアは14−13。後半に向けて双方手ごたえを感じた 
のだろうが、個人的には少し嫌な感じで終わってしまった。                       

3Q開始、順調に京大ドライブは進む。#33が左オープンを疾走、スピンでエキストラエフォートを見せる。
3rdショートをリバースピボットからのQBキープで楽々と突破。ダウン更新。プロセットのIフォーメー 
ション。カウンターロールでQBは左へ。サイドラインパターンへ投じたパスに飛びついたのは関大#11だ 
った。カウンターロールからのパスは怖い。#11を追うのはQB御澤だけだった。「敵陣20ヤードの1s 
tダウン」は、そっくりそのまま関大攻撃のものになった。結果、京大はTDを奪われることこそ防いだが、 
FGを決められ、これが決勝点となった。                               

守備においては最終的にはパス守備の脆さを「やはり」突かれた形になった。特にSFの寄りの遅さが目立っ 
た。総じて関大レシーバとのマッチアップはスピード負けの状態であった。3Q残り2:15。京大のパント 
がTBになった自陣20Yからの関大攻撃は8プレーで5FD,69Yを稼ぐ。うちランはQBドロー、QB 
スイープを各一回の2プレー。このドライブ中ランはわずか合計7Y。逆にパスは6回中5回成功。#17の 
スラント、#25のタテ、#3へのスクリーンなど立て続けに決まる。京大は絶体絶命だったが京大陣11Y 
の2ndダウンのパスはエンドゾーン内でインターセプトされて終わる。関大は得点はできなかったが、この 
ドライブでフィールドポジションを大きく有利にした。そして京大のパス守備の脆さをハッキリと浮き彫りに 
した。                                               

さて気になるのは3Qに入り京大の攻撃がやや勢いを無くした点である。前半ほど1回あたりの攻撃で進まな 
くなっている。エンドゾーン内でのインターセプトにより4Q残り11:05自陣20Yから開始した京大の 
ドライブに注目が集まったが、これが前半ほどの勢いが無い。#33のランが5、4、5、1、6Yと破壊力 
が半減。さらに2度のホールディングを犯し結果、要所で#89へのパスで突破せざるを得なくなった。それ 
でもぎりぎりのドライブを進め一時は関大陣40Yに攻め込むも関大#23サックと同じく#23のビンゴで 
関大陣43Yで攻撃権を渡す事になった。                               
これは京大のミスというより関大守備の後半のアジャストの成功によるものだろう。京大#33に的を絞り、 
早い集まりで群がるようにタックルを浴びせ長い距離を残す事に成功した関大守備に対してこれを突破する手 
段はあまりにも少なすぎた。そして時間だけを消費する事になってしまった。御澤のパスは悪くない。レシー 
バもレベルアップしている。しかしライン、バックスとも関大守備のスピードにかく乱されてしまいロングド 
ライブを突破することができなかった。今後は攻撃のバリエーションの確立とプレーの精度を高めていかない 
と上位相手には苦戦は必至となるやもしれない。特にパス守備の脆さからある程度の失点を覚悟しなければな 
らず、ロースコアでの勝負に持ち込めない可能性がある。攻守の立て直しに期待したい。          

それにしても、これが京大の実力なのだろうか。                            
どうも近年の京大は客観的に「これは強い」と断言できる場合であっても結果的に「脆い」部分を出してしま 
い、あっさり負けてしまうケースが見られてさびしい。しかしツイていないの一言ではすませたくない。すで 
に戦力的には大きな差はなくなっているのが実態なのである。もう後が無い。今季のこの戦力でもう一度挑戦 
してほしい。                                            

さて関大にとっては嬉しい京大戦勝利ではあるが、あえて苦言を呈したい。                
それでも「雑な部分」が目立つのである。                               
エンドゾーン内でのインターセプトにより危機を脱した京大の4Qのドライブが前出の通り#23のインター 
セプトで終わったのが残り3:42。センタースクリーンを投げてフォルススタート。ストリークを投げて失 
敗。SGからコーナーパターンを投げて失敗。パントを蹴って京大が攻撃権を得たのが残り3:20。しかも 
関大は自陣43Yで得た攻撃権だったのに、パントの結果は、京大は自陣46Yという好位置で攻撃を開始。 
点差を考えれば積極的な攻撃にでるのは分からないではないが、時間消費わずか22秒。しかもフィールドポ 
ジションも挽回できていない。残り時間と距離を考えれば京大にとっては逆転TDの演出は不可能な条件では 
なかった。                                             
結局この京大攻撃は2度のパスディフレクトを含みギャンブル失敗となるのだが、これは最初のプレーでいき 
なり13Yも後退してしまったのがきいている。(DLにディフレクトされたボールが高くあがり、これをQ 
Bがキャッチしてダウンしてしまったのだ。)                             
 *直後の関大攻撃は時間消費に出で4thダウンでランプレーを選択するのだが、これが京大のロスタック 
  ルを浴び京大は残り0:52で自陣40Yの好位置で攻撃開始となった。#82,#89へのパスで関大 
  陣35Y(残り0:29)まで反撃したが、ここで#89へのパスがコントロールミスからインターセプ 
  トとなり万事休すとなった。                                   
つまりは「関大は計算ずくで勝利をした」と言い切れない部分が残るのが残念なのだ。           
良い言い方をすれば、試合後半から攻守とも本領を発揮するチーム。厳しい言い方をすれば、終盤になって勝 
てそうになると強烈な強さを見せるのだが、それと比較すると、それまでがルーズな試合運びをしているとも 
言える。開幕のKG戦ではディレイなどのイージーな反則を何度も繰り返し、結果時間切れで勝利を逃してい 
る。豊富な人材も揃い、スピード豊かな攻守をみせる、新生関大である。後半の京大攻撃を徐々に押さえ込む 
対応力。同じく後半に京大パス守備に対して堂々とパスで突破した攻撃陣。これに試合運びの緻密さを加えて 
いれば、KGにも勝利できたであろうし、京大にも「快勝」できたであろう。               
パスではエース#17だけでなく機動力のある#19,#15が揃う。伝統のRB陣はブロックの成功云々を 
問題にしない大黒柱#3がいる。そしてQBは#8、#7ともに走力は十分でフレックスボーンからのオプシ 
ョン、シザースは相手には厄介だ。守備はスピード豊かでリアクションも速い。そしてアジャスト能力も向上 
している。                                             
次節立命戦では、KG戦、京大戦の反省を加えて、堂々たる「挑戦者:カイザース」の姿を見せて欲しい。  



近大 VS 龍谷

まずは龍谷のDIV.1初勝利にはおめでとうと言いたい事は言いたい。しかし言わない。試合内容は決して 
オメデタクナイものだからだ。1点差で、しかも逆転FGを外してもらって勝つような試合ではなかった。3 
本、2本で快勝になるはずの試合だ。一言で言うと龍谷攻撃は「寄り道しすぎ」もしくは「遊び過ぎ」である。

どうもこのチームは遊びが過ぎるように思える。もちろんセオリーには忠実ではあるが、これがプレーのレベ 
ルになると「?」となるケースが散見される。                             
前半パスを控え、後半にパス多投で勝負にでるのは構わないが、少しのんびり構えすぎのようでもある。よほ 
ど自信があるのかとも思うが、この展開では自信があったとは言わせない。DIV.1未勝利のチームの姿勢 
としては、やはり「?」なのである。                                 
例えばノーバックからのTEリバース。悪くは無い。しかし、ここでコールする理由が不明だ。シークエンス 
上に存在しない。おまけにゲインはわずか。ロスをしなかった程度だ。                  
又、ターンノーバ直後にビッグプレーを狙うのは確かにセオリー通りだ。しかし、いきなりダブルリバースか 
らのフリッカーパスをコールするのは疑問だ。結果、パスは投げられずキーパーとなり5Y程度のゲイン。そ 
れをするならダブルリバースでいいだろう。走路がエンドゾーンに向けて完全に開けている状態で最後にコー 
ル通りピッチしたキャリアの観想を聞きたい。                             
さらに、いきなりのダブルスクリーンにも驚いた。実際はポンプアップフェイクを入れたスローバックスクリ 
ーンだがコールの意図が読めない。ここまで佐藤のパスは余裕を持って投げられていた。また近大守備フロン 
トはここまでQBへのプレッシャーを殆どかけていない。従ってスクリーンを投じても守備は誰も巻き込まれ 
ていない。結果ノーゲインだ。普通にパスを投げていれば高い確度でパスは通る。RBのランも十分出ていた。
奇策を用いる理由は何も無い。理解できない。                             
そして最悪だったのが無得点に終わった4Qの近大ゴール前での攻撃だ。                 
3rdダウンでシフトから左に3人のレシーバをタイトにセットさせるワンバックからのバンチを用いてパス 
を投げさせた。このドライブでここに至るまでに同様のシフト、フォーメーションからSBにウイークサイド 
を突かせるランをコールしている。同様の動きから異なるプレーをコールするのは正しいし、問題無い。また 
エンドゾーン内で3人のレシーバが揃ってサイドラインに向かい、奥にパスを投じるのも攻撃としては納得が 
行く。しかし、だ。パスはオーバースローとなり失敗した。そしてそもそもエンドゾーンは目と鼻の先だった 
のである。私は、このプレーでパスを投げるとは全く思っていなかった。3人のレシーバがマンツーでDBを 
外側に引っ張って、空いたエリアにQBがセミスプリントから飛び込むと確信していた。間違いなく決まるだ 
ろうと思っていた。この後、結局4thダウンでネイキッドロールから右に切れ上がりエンドゾーンを割れず 
に終わった。一体何をやっているのか。                                
この後の龍谷攻撃で近大守備のタックルミスから一発TDパスを奪い逆転はした。そして再逆転を狙う近大の 
FGが外れた。タックルミスが無ければ逆転できなかった。近大がFGを外していなければ負けていた。自ら 
が主導権を握りながら、間違いなく決められる時に決めきれない。巧手ともに相手のミスに救われての勝利。 
これはオメデタクない。本来の力量を発揮しての快勝を果たした際に「おめでとう」といわせてもらうことに 
する。                                               
ちなみに攻守ともに選手はすばらしいメンバーがそろっている。攻撃はパスターゲットも豊富だし、RB#3 
1はパワー、スピードともに十分でバックフィールドの核として十分機能している。DIV.1で勝負できる 
力は十分に持っている。次節以降に期待したい。                            

そしてクドイようだがコーチは試合中にフィールドに入るのは止めてもらいたい。しかも複数人が複数回。確 
信犯である。こんなチームは見たことが無い。見苦しい。                        

一方の近大は3節終了時点で1勝2敗と厳しい状況となった。                      
守備はフロントに元気が無い。龍谷QBへのプレッシャが十分ではなく、パス多投にでた後半には余裕をもっ 
て投げられてしまう事になった。要所でラッシュはかけており、それなりに成功しているのだが、コンスタン 
トに圧力をかけていないのは疑問が残る。決勝TDパスをゆるしたのは、単純なタックルミスだった。ポスト 
に飛び込んだレシーバを確実に止めていれば問題なかったが、低いタックルをいなしたレシーバが外に流れ、 
パスートミスから一気にエンドゾーンまで走られてしまった。痛恨のミスだった。また龍谷の1本目のTDパ 
スもDBのイージーなミスといえる。                                 
そもそも龍谷の効率の悪い攻撃のせいで僅差での時間帯が続いただけで、本来はもっと点差が開いていてもお 
かしくない。守備は立て直しが必要だ。相手のペースに合わせる必要は全く無い。             
一方の攻撃だが爆発力が感じられない。QB岡の率いる攻撃はランプレーはほぼ完封されてしまう。かろうじ 
てミドルパスをつなぎドライブしている状況だった。前節も2TD。この試合も2TD。得点力不足は深刻だ。
気になるのがQBの起用だ。                                     
前節関西大戦では3Q終盤からQB#12を投入。60Yを2分32秒、4FDで乗り切るTDドライブに貢 
献。4Qに至っては90Yを2分30秒、3FDで乗り切るTDドライブを指揮。で、この試合である。投入 
されたのは4Qに龍谷がTDを奪った後である。オプションで果敢なキープ、SGからの攻撃も指揮し敵陣2 
0Yまでドライブしてみせた。                                    
#12の指揮するドライブに変わると攻撃が一変するような気がするのは私だけか。            
サイズ、スピードもさることながら、全般的にスケールがアップするような気がする。本来の近大攻撃のもつ 
凄みが戻ってくるように見える。高校時代から決して強くないOLの元でプレーしていたせいか、密集でも慌 
てない。走力も高く判断もよい。パスも悪くない。一方の岡はオプションQBとしては評価はするが、サイズ 
不足からパスのパターンに制限がみられ、オプションが良い回転で機能しないうちは苦しいドライブになるケ 
ースがある。個人能力の高い#12に伸び伸び指揮をさせてはいけないのだろうか。少なくともスコアリング 
の実績は岡には引けをとらないのは実証済みだ。                            
逆転FGのお膳立てを演出したのは#12だが、近大2本目のTDでPATのキックを外したのも#12。逆 
転FGを外したのも#12。一人で試合を演出してしまった感があり、気の毒ではある。しかしロングドライ 
ブをキーパーを中心に進めた直後にFGを蹴らせるのは酷ではないか?力があるのはわかるが、人手不足な訳 
でもなかろう。QBとして先発を任せキッカーは他の専任者を置くべきではないだろうか。         



立命VS同志社

池野の評価が問題になるが、個人的には決して悪く評価はしていない。                  
パスは高い成功率できまっている。失敗のうち2回はストライクボールを弾いたものでレシーバの責任である。
負傷明けもあってキープは数回だが、そもそもRBがよく走っておりキープの必要も無い。相変わらずライン 
の仕事の成否にかかわらず走りきってしまうバックス陣は頼もしい。またターゲットでは木下が出場を控えた 
ものの、その他のレシーバが満遍なく活躍している。特に#15の活躍が目立った、長身で手足が長く、ソフ 
トハンドの持ち主である。少々コースが乱れても体勢を崩しながらも確実に取ってくれる。         
面白いプレーはRB#23のカウンタープレーの際に見せたOLの動きである。アップライトで構える立命O 
Lだがスナップと同時に「OL」が一斉にカウンターアクションをするのである。一旦左を向いて右に動く。 
どこまで効果があるかは不明だが、OL陣に本来の強さが戻らないうちは色々やってカバーしようという事な 
のかもしれない。なおKGが同志社から奪った得点と比較して少ないのは単純な理由である。控えQBの差で 
ある。厳密には控えQBを出す順番によってこの点数になったということだ。池野の次に木下を投入していれ 
ばKGと同様のスコアになっていただろう。道具立てとしては異なるが戦力的にはイーブンに近いのではない 
だろうか。この道具立ての違い=質の違いが本来は強さの違いになるのだが、これは別の機会に記述する。  
さてQB渋井のプレーを見たが、まだSGを指揮するには厳しいか。肩も強く、走力も高く、サイズもパワー 
もある。しかしパスに出る判断が遅いし走り出すタイミングも良くない。結果、2回のインテンショナルの反 
則を犯した。本来の高い能力を発揮するには至っていない。一方の木下はさすがに慣れている。背後からラッ 
シュを受けても軽くかわし、動きながらターゲットを見ることができる。機動力も十分だ。         

同志社守備は、守備アライメントを見た段階で、これではまず止まらないと見たが、その通りだった。しかし、
そろそろ守備を考えて欲しい。立命がSGを採用してから何年たつのだろうか?毎年同じような対応をして同 
じように失点を重ねている。京大がフラット5で対抗しようとしたのが2001年。以後、京大、KG、そし 
て神戸あたりは何かしらのSG対策を見せている。しかし同志社、近大、降格した甲南についてはこれといっ 
た対応が見られないのが残念だ。                                   

同志社の得点は76Yを3分43秒2FDで乗り切ったもの。オプションキープと#10へのスラントを決め 
オフサイドにも助けられFD2回。最後は右サイドをオプションキープで41Yを走りきった。では4Qまで 
得点機会が無かったかというと決してそうではない。                          
1Q残り2:05自陣21Yからの攻撃ではオプションキープ11Y、#19へのセンタースクリーン10Y 
に加えインターフェア、オフサイドの反則にも助けられ3度のダウン更新。敵陣38YでFDを得る。なんと 
か30Yの内側に入り、せめてFGを蹴って終わりたかったがQBのウエッジプレーが4Y。中央突破もスイ 
ングもノーゲインとなりパントを蹴らざるをえなくなった。                       
また直後の失点後のKORで#16が30Y近く返したドライブでは自陣39Yで攻撃権を得た。敵陣45Y 
でパントとなったがこれが敵陣10YでOBとなる好パントとなった。返しの立命のドライブはダウン更新で 
きずパント。これを同志社#19が今度は12Y返し念願の好位置での攻撃権を得た(立命陣22Y)。ここ 
を#7のスクランブルと#14へのパスで突破し敵陣8Yでダウン更新。しかしすでにTOを使い切っていた 
のが痛恨だった。スパイクで時計を止め、#19へのスラントを投じた。フリーにはなっていたが決まらず。 
結局25YFGTRYとなるがこれが失敗(残り0:47)。TDを奪っていれば21−7となり面白くなっ 
ていたのだが。                                           
同志社は大黒柱#1が負傷で出場せず。それでもなんとかオプションの展開にしたいところなのだが、立命守 
備の出足の前に、思うように組み立てができない。試合のファーストドライブこそ#22へのオプションピッ 
チが12Yとゲインしたが、以後のオプション攻撃はキーププレー以外は沈黙する。トスプレーもロス。スイ 
ングもロス。カウンターオプションもロス。オフタックルは抜けずトラップは出るが回数はこなせない。結局 
オプションキープとミドルパス、スクランブルに頼らざるを得なくなるが、ここまで出るプレーが限定される 
と厳しい。#10,#14へのミドルがそれでも何回かヒットしているが、そもそも総じてロングドライブを 
強要されるシチュエーションが多く厳しい結果となった。要所で投じられるロングパスが意外とフリーになっ 
ているのだが、これがキャッチミスが続き陣地を進められない。やはり立命守備相手に上げられるTDは2本 
が限界だということだろうか。                                    





以上

ボヨヨン王国
BOYOYON KINGDOM