王立球技場


2003年第一節観戦記


近大VS甲南


近大攻撃は結果として得点は重ねたものの、強さを感じなかった。ドライブしては残り3
0ヤードでもたつく。ミスだったり反則だったりでこの辺を行ったり来たりしてからFG
かTDで終わる。従って攻撃の印象が悪い。
まずQB安部のパスがやや安定感を欠いたように見えた。両TEのローンバックでレシー
バを2枚に絞りプロテクションを完璧にした上でのパスでもタイミングを逃してしまって
いるケースがあった。厳しいプレッシャーを受けている印象は無いのだが、落ち着かない。
甲南守備のSFが2枚ともやや深めでLBが上がり目な為、SFの手前に左右からWRが
ポストで入るケースがあった。しかしタイミングを逃した為WRは逆サイドまでフリーな
状態で抜けてしまっていた。結果としてパスは成功したものの、こういったタイミングの
ミスが気になった。
レシーバでは#16大峠が良い。タテで勝負できる。スピードもある。TE#4も含めて
ターゲットは十分揃っている。レシーバは悪くないのでQBのパス精度の向上が課題だろ
う。ラン攻撃は大黒柱#20土手下が頼もしい。とにかく#20だ。前半こそ苦しむケー
スがあったが途中からは持ち味を出して走る走る。控えのTB#7樋口も遜色ない。一方
の守備は今季からリード守備を多用するとの事だが大きな変化は感じられなかった。DB
陣は相変わらず堅い。スピード、ヒットともに十分で面白い。気になるのは、それでもチ
ームの持つムラっ気か。攻守ともに押していてもミスをしてしまう。ロングスナップがP
の頭を超えてしまったりして、いただけない(結果甲南にTD献上)。少し間違うと乱戦
になってしまう危うさは抱えている。

一方の甲南攻撃ではやはり、#88吉田だ。吉田へのスラントはもはや反則プレーであり、
よっぽどの事が無いと外す事は無い。コントロールミスから高目に浮いたり、リードして
も捕ってくれる。これで5ヤードは確実だし、守備がミスれば一気に持っていける。TE
やSBでセットする事が多いがモーションしてバックに入ることもある。今季も大黒柱だ。
QB今川のプレーを見たのはほぼ初見。思いのほか器用な選手だ。決して強肩ではないが
ショート、ミドルのパスは十分計算できる。この試合も一回平均10ヤードを切るものの
成功率は60%を大きく越える。ターゲットの多くが吉田ではあるが、安定している。果
敢なオプションも見せるバランスタイプではあるが若干線が細い為、負傷が不安だ。ただ
しこれだけ機能すれば今後に期待が持てる。バーサタイルバック#5大西はTEで活躍。
また、いきなりショットガンを披露したのは驚いた。チェンジオブぺースの域を出ないが
形になっていた。さらに甲南攻撃はこの試合モーションシフトを多用。TE、FLに投入
された吉田がジェットモーションからピッチマンになるオプションパッケージを繰り出し
た。ゴール前で守備の大黒柱#42をTBに投入しオフタックルを突く。この日の甲南の
2TDはいずれも山本のランである。結果は残せなかったが,甲南攻撃は明らかに準備を
してきているのを確認できた。
また興味を引いたのはリターンチームの奮戦だ。かつて連続4位になった際はリターンの
工夫が随所に見られたが、このゲームではそれを彷彿させる出来だった。
又守備も近年の試合の中ではかなりアグレッシブにきている。土手下警戒からの前陣強調
の裏にパスを通されるケースが多く苦しんだが、姿勢は素晴らしかった。緒戦からある種
捨て身できている。守備も前半はよく耐えた。積極策も多用し、要所で近大攻撃を苦しめ
たのは評価できる。OLもベストメンバーが揃えばサイズ的には見劣りはしない。しかし
ライン、バックスとも層の薄さは気になる。この日も負傷退場者が多く、正念場になるシ
ーズン後半に力を出し切れるか心配だ。複数のルーキーが活躍している。攻守ラインやS
F(DL#58安井、SF#21石坂)立派に機能している。辛抱が必要だが今後楽しみ
な状況でもある。


KGVS同志社


同志社はエースRB永富の欠場が痛い。QB水野の機動力を生かしたオプションはキーパ
ーが威力を発揮。KG守備は水野のリバースピボットに過剰反応し、やすやすと独走TD
を許した。永富がいればロールオプションのバリエーションを加えてKG守備を翻弄でき
たろうに残念だ。QB水野は春の不調はどこへやらでラン、パスに好調振りを見せた。T
B#19のプレーを多用するがこれが出ない。一方でFBのプレーがまずまず出始めた。
これとキーパーを混ぜて、最後はプレーパスを通すという組み合わせでドライブを見せた。
特にKG守備の真ん中のミドルゾーンが薄くなる為、TEのアップ、ポストを立て続けに
決めてのドライブはさすがだった。#89の捕球回数を確認すれば分かるがこれはすべて
この系統のパスだった。同志社攻撃ラインはKGDLが万全でないのを割り引いても、成
長は確認できた。ターゲットは皆、堅調。KGの若手CBに対してランパスで揺さぶりロ
ングゲインを奪うなどパスが面白い。総じて攻撃は面白そうだ。一方の守備ではKGレシ
ーバをよくカバーしたが、福井、中島らをフリーにするケースがあり、一発ロングゲイン
を浴びるシーンがあった。もうすこしDLに迫力が欲しいか。

KG攻撃は前半はバタバタしたが後半は落ち着き始めた。QB#10出原は成功率60%
以上をマーク。しかし印象があまりに悪い。ロングパスが浮き球になったもののDBのビ
ンゴミスで助かったり、ターゲットがガラ空きなのにパスがショートしたり、スクリーン
パスをディフレクトされたりと不成功の中身が良くない。ミドルからロングはしっかり投
げ込めているのだが、ショートパスが良くない。球の出所が低いのか長身の割りにディフ
レクトされるケースが多く納得いかない。ターゲットは中島、福井に続いて#85宗助が
成長した。特にブロッカとしてではなくレシーバとして計算できる。キャッチしてからの
ランの意識が強く加速力もついた。DBを引きずって走る姿もあり頼もしい。4QのTD
パス捕球はパスがリードだったものに飛びつき、バランスを崩しながら踏みとどまり切れ
上がってエンドゾーンに飛び込んだ。ナイスプレーだった。ランプレーでは#6田中が目
立った。もともとスピードやデイライト能力が持ち味だが、この試合では多少ブロッキン
グで乱れがあってもカットバックでなんとかしてしまうケースがあり、現在のKGにとっ
ては貴重な存在である。その他に気づいた点としてはDL#44田頭をTE投入している
点だ。攻撃ラインが整備途上の為両方TE体型の際に#89東井とともに投入されている。
攻撃ラインでは#52、#77ら若手投入の場合の方が安定感は感じられた。まだベスト
メンバーは?といわれると決めかねる陣容である。ショットガンとセットバックの併用で
進められているが、まだ個人的にはセットバックの方が安定感を感じる。ショットガンか
らのプレーバリエーションは春からあまり変わらない。QB河野、#33三浦でガンから
のリードオプションを見せたがタイミングとしては未完。オプションというよりただのピ
ッチプレーといってもよい。意図はまだ確認できない。
守備では今東、佐岡とも出場せず。後半市村を投入するなどしたがDLは試行錯誤が続く。
OLBに#21池谷を投入。#32,#39らとともに機動力重視のLB陣としている。
K中野は安定感が出てきた。キックオフで無風の中何度もEZに蹴りこむ。FGも手堅く
決めた。カバーチームもまずまずだ。
総じて春から夏にかけて成長し始めている選手もいるが、まだ足踏みをしている選手もい
る。攻守ともに良いプレーもあれば酷いプレーもある。チームの総合力を発揮するところ
までにはまだ至っていない。



以上

ボヨヨン王国
BOYOYON KINGDOM