王国王宮


鎧球バカ一代:遠距離爆撃編


一年坊主は忙しい。いや、やってる事は大した事は無いが余裕が無い。タ 
ッチダウンは毎号買っている。これしか情報が無いからだが。      

さて90年秋のシーズンが始まった。たまたま開幕戦の日は大阪に帰って 
いたのだが、テレビのダイジェストを見てため息が出た。        
KG攻撃が出ない。東村の復帰は間に合わないようで大矢がスタートだが、
関大相手に攻め切れない。最後にようやく梅原にパスを決めて僅差で勝利。
ここまで寝惚けているKGを見るのは初めてだ。でもこの頃は楽観してい 
た。そのうちエンジンがかかるだろうと。               
一方京大は前年だらしなかったQB陣が奮起。佐野を中心に上り調子。立 
命館がパンサーズに名前を変えたのもこの年だったと思う。春のこの2チ 
ームの対戦は接戦だったとの事。                   

シーズンが深まる。試合の情報は入らない。新聞で確認するしかない。月 
曜日を楽しみに新聞を見る。                     

なんでや。                             
負けとる。                             
神戸に。                              

TDを読む。アカンわ。ボロボロや。話にならん。俺も余裕は無いしKG 
も余裕が無い。                           
何かの間違いじゃないのか。R&Sはどうしたんや。東村と大矢でそんな 
にQBとして差があるんか。バックは何やってるんだ。高下はどうした。 
加藤は何やってる。                         

大王の嘆きをよそにKGはチームの歴史で最悪のシーズンを送る事になる 
のだ。                               

関京戦だ。いつもより早く10月開催。                
場所は西宮球場。いやすでにスタジアムと呼ばれていたかもしれない。も 
ちろん見に行く余裕は無い。どうやって情報を得るか。         
テレビのスポーツニュースしか無い。幸いTBS系列のU局がスタートし 
ている。夜のニュースを待つ。                    

この手の番組の中身は今でも基本的に変わらない。フットボールはゴルフ 
やアイスホッケーなんかと一緒で30秒程度で紹介されるだけなのだがそ 
れでも見たい。                           

続いてシーエムの後はその他のスポーツです。             

よしきた。                             

紹介されるニュースの一部が3秒づつ映ってシーエムへ。        

え?                                

一瞬フットボールのシーンが映った。                 
白のジャージに緑のヘルメットの選手がスローでエンドゾーンに飛び込ん 
でくる。                              

弓削だ。                              

やばい。これはマズイ。                       

シーエムが終る。フラッシュで流れる。社会人駅伝予選、アイスホッケー、
ゴルフときて、、、                         

「関西学生アメリカンフットボール、伝統の関京戦。」         

よし来たあああ。                          

「関学が先制します。」                       

よおおおし。ん?まてよこの後弓削のタッチダウンがあるはずだが。   

........やられた。森口が止まらん。がんがんいかれる。弓削の 
アクロスがどフリーだ。大きなストライドでどんどん走る。その後KGは 
ビンゴ大会。#12大矢どうした。で、京大勝利。           

ブチ。                               

TVをすぐ消した。ちくしょうヒガシが間に合ってればなあ。なんでもこ 
の日はブラスが野球の応援に行っていて、しょうがないから軽音が来て演 
奏したらしい。しかも西スタ。縁起が悪い。              

あかん時は何やってもあかん。                    

その後、一気に緩んだか僅差で連敗を続けるKG。見るに耐えん。最終戦 
は近大と引き分け。負け越しや。こんなん初めてや。仕事で死ぬほどしん 
どいのに追い討ちをかけるような展開。さっさとシーズン終わってくれ。 
だいたいあれだけレシーバが揃っていて、何やってる。それでも優勝チー 
ムか本当に。                            

腹いせにNFLを見る。                       

この頃は大塚、後藤コンビで放送していたのだが、試合数も多かったし、 
カットも少なかった。SFVSヒューストンなんて、いい試合だったなあ。
モンタナVSムーンだよ。アストロドームだ。ライス、クレイグ、ラスマ 
ン、方やジェフリース、ダンカン、ヒル、ギブンス、ピンケット、おまけ 
にロレンツオ・ホワイト、レオナルド・ハリスにジェラルド・アイスキュ 
ーブ・マクニールだ。(何度も見たのでよく憶えている。)       
そうそう、マイアミVSレイダースのマンデーナイトも、まだVTRで持 
ってるなあ。過去マンデーナイトの勝率1位、2位の対戦だそうで、まー 
これも豪華メンバー。アレン、ボー・ジャクソン、スミス、イーサン・ホ 
ートン、WRはフェルナンデス、シカゴから移籍のゴールト、ティム・ブ 
ラウンなんて端役だった。リターンのロン・ブラウンにマンカバーの名手 
ライオネル・ワシントン。なんせハインズマン3人、オリンピックランナ 
ー2人だ。守備はロング、デービス、ゴリック。            
マイアミも例のマイアミ・パウンドマシーンの年でなかなか強かった。渋 
いのはやはりジム・ジェンセン。前半終了間際にプリベントを引くレイダ 
ース守備あいてにこいつへのパスで立て続けにダウン更新してTDをあげ 
るマイアミ。おまけに後半にはマリーノのスクランブルまで拝めた。マー 
ク・スーパー・デューパーとクレイトンのマーク兄弟も元気だったな。  

何度もVTRで見る。すると選手も覚えちゃう。いかにフットボールに飢 
えてるかって事だね。                        




12月に大阪に里帰り。丁度ALLKGVS米国沿岸警備隊士官学校の試 
合があった。場所は長居。                      

見にいかんかった。TVで見た。解説はあの東海。           

試合は面白かった。OBには、まー懐かしい名前が。小倉、榎並、橋本、 
目黒。WR菅野(大ベテランがキャッチしたひにゃ東海大喜び。     

芝川のロールのキープが出る出る。「いやあ、芝川さん、速いですねぇ」 
と東海大喜び。芝川、堀古とならんでサイドラインでインタビュー。華が 
あるねえ。しかし元気なのは若いOBで現役はまったく元気が無かった。 
8−20で試合は完敗。しかし大丈夫なのかねこのチームは。ゲインする 
のはOBチームだけ。先が思いやられる。               


甲子園BOWLはTVで見た。                    
日大3連覇の最後の年だ。まー強い事、強い事。ちょっと相手にならんっ 
て感じだ。やはり光ったのは#22梶山。誰もカバーしきれんって。方や 
京大は善戦。佐野、金岡でズルズル前進。しかし敵陣に入って3回続けて 
インターセプトをくらっては厳しい。弓削がほぼ完封されオプションもね 
じ伏せられた。見せ場は最後のスクリーンからの#31の独走。4年間バ 
ックフィールドを引っ張った森口の気迫を感じた。ひげ面、ボロボロのジ 
ャージ、決して長くない足をグルグル回してドンドン走る。意地のTDだ。
最後のドライブで倒される#9佐野。急いで立ち上がるが時計はゼロ。  

やはり日大は強い。しばらくは勝てそうにないなあ、なんて思った。これ 
を最後に甲子園から遠ざかるなんて夢にも思わなかった。もちろん。   

正月、ライスボウルをTVで見る。                  
日大VS松下電工。西村を引退で欠くもQB#10時崎が奮闘。TB大塚 
へのピッチからスイープパスがスローバックで時崎に決まって、電工先制。
やるねえ社会人。でもかなり限界に近いなあなんて思ってたらやっぱり、 
その後は日大ペース。しまいにゃ新フォーメーション、キングコブラから 
山口が大独走。さらにガードリバースまでやってのける、まさにやりたい 
放題とはこの事。電工は松岡へのパスで必死にドライブして1TD追加す 
るに留まった。                           


攻守ともに圧倒的に強いライン、大きさだけではなくスピード、クイック 
ネス、タフネス、全て完璧だ。豊富なバックス陣、そして高いモラルと集 
中力。プレーの精度も抜群だ。知らない間に他のチームと大きな差が開い 
てしまったように思える。まさに赤色恐怖の時代だ。このチームを下して 
日本一になるような所が出てくるんだろうか。その時は心底そう思ったも 
のだ。                               

現在の日大の不調を見るのは関西のファンとして、とても辛い。     
しかしそれでも日大に対する敬意は失った事は一度も無い。これは事実だ。






91年になった。                          

相変わらず忙しい事この上無い。                   
KGはエース東村がようやく復調。新聞やTD誌で春の試合を確認。   

KG10−17京大                         
KG 0−3 日大                         

ふむ。なんとなく復調の兆しありかな。昨年の戦績から考えれば上等か。 
守備はがんばっているようだね。さてヨコハマボウルだ。BSでやって  
くれる。有り難いですなあ。VS明治戦。カットも少なく放送としては、 
まあよい出来でした。                        

オフセットIなる体型を初めて(いや実際は89甲子園でちょっとやって 
いるのだが)確認。トリプルセットのR&S体型との併用で前進を試みる 
KG。FBのランが角度を持っているのが一つのミソ。これをフェイクし 
てのクイックパス。それにカウンター、ミスディレクションプレー。ふむ 
ふむ。派手さは無いがランパスのバランスを取って地味にゲインしようと 
いう方針のようだ。TB加藤の他に#2林が活躍。密かに#40前島が1 
回キャリー。WR水谷が大きな番号をつけて数回キャッチ。など後にKG 
を背負う1年生がすでに登場。よしよし。守備では池之上、谷嶋に2サッ 
クの中村らDLが元気。野村のビンゴもあったりでこれも非常によろしい。
攻撃は数回ビンゴなりファンブルロストがあったが、気にせず自分たちの 
スタイルを確認し、遂行していこうという意気込みを感じた。守備は若手 
も積極起用。いいんじゃないの。                   
試合の終盤には#46がついに登場。なんやデカイQBやのうと思ったら 
いきなり水谷にパスをヒット。カウンターロールでオープンをドンドン上 
がる。おい時間が無いんだからOBに出ろよというグチも苦笑ぎみになっ 
てしまう活きのよさ。芝高だ。ゴール前から強引に突破しようとして失敗 
したり、どんぴしゃのタイミングでエンドゾーンにフェードを投げたりす 
るが微妙に失敗。最後はスプリントアウトから#22広部にTDパスをヒ 
ット。ボーっとした雰囲気と大胆なプレー。いいじゃないですか。なお大 
矢は帯同したが負傷あがりでプレーはナシ。よしよし若手がいいじゃない 
ですか、順調順調。                         

方や明治も白輪地、河合のQBの他、丸山、WR一郡、富増、それにリタ 
ーンTDを奪った川嶋などバックスは充実している。攻撃はTからのクイ 
ックヒットとご存知明治オプション。これは今もあんまり変わらん。   
もっと勝ってもいいはずなのにな。このチーム。            

この試合はもう何回も見た。唯一の動く最新情報ですからね。      

やはりVTRは貴重だよ。東京時代に苦労して葛西のDマートからエンヤ 
コラ運んだ甲斐があった。よく19インチTVを担いでバスに乗ったもん 
だといまだに感心する。                       

以前に湯川さんとも話をしたのだが、VTRで同じ試合を何度も見るのは 
とても重要だ。そのうちプレーの順番を覚えてしまう。次にラインの動き 
も見えてくる。プレーの意図がなんとなく見えてくるものだ。こうやって 
情報の無い所にいると嫌がうえでも見てしまう。この他にも87、88関 
京戦もテープがスリ切れるほど見てしまった。試合の流れ、モメンタムの 
動き、何がキーなのか、段々分かってくる。何をエサにして何で勝負する 
か。それに対して相手はどうやって対応するか。さらにそれを切り崩すに 
は?などなど必然的にマニアックな見方になってしまう。いいのか悪いの 
か分からないが、そういった意味でこの時代は大王にとってとても貴重な 
期間だったと思うのだ。                       

ボヨヨン王国
BOYOYON KINGDOM