西を見てから死ね
甲子園BOWL2002
予想の前に初出場の早稲田について考えてみたい
この春、西スタで行われた早稲田VS KGをあらためて見てみてみた。
その印象から、今年の早稲田について述べてみる。秋になってからの伸
びしろはこの際無視してみる。
Wの攻撃
こう書くと古いミステリーのようだが、早稲田の攻撃にミステリーな部
分は無い。かつて日大を撃破した頃の早稲田はパワーオフタックル連発、
RB堀田の超人的キャリー数でねじ伏せるフットボールだった。今年は
どうか。初優勝とは言っても異色のチームではない。やっぱり関東のチ
ーム。ラインは小型。パワーではなく、やはりスピードとタイミングで
勝負する。攻撃の特徴は、まずOLのスプリットがやや広めである点に
ある。これを使っての
・トリプルオプションをはじめとするオプションとそのフェイクのパス。
・QBが左右にスプリントしてのオプション、及びランORパス。
これが全てと言える。こう表現すると攻撃の幅の狭い印象を受けるが実
際は逆。
まずOLのスプリットが広いためFBのクイックヒットは出る。これに
気をとられるとQBキープがガシガシ出る。当然パスラッシュはうける
が、QBがドロップした後、左右に軽く流れながら投げる事ができるの
でパス攻撃が成立している。さらにラッシュがきついと見るや積極的に
QBがロールしてランパスに出る。これら組み合わせは「ごく自然」と
いうより「当然のアプローチ」である。自軍のタレントをよく理解した
プレースタイルであり、且つ良いプレーをチョイスしていると言える。
これらにスプリントドローを混ぜると多少ややこしいが、総じて、「極
めてオーソドックスな攻撃」といえる。その意味では...
・あくまでオプションオンリーでパスはしんどい法政。
・速さが命で、それが「全て」の専修。
・トリプルオプションのみの日体。
などの近年甲子園出場を果した各チームと比較して、攻撃のラン・パス
のバランスは「非常に」取れているのだ。繰り出すカードの多さは91
年の専修以来の多さだと言えるだろう。
シチュエーションにかかわらず手前、奥、左右にラン、パスで攻撃でき
るの分、「パスをある程度無視して良い対法政戦」よりは。相手守備は
「気を使う」必要はある。フィールドを広く使い、スピードで勝負する。
そういうチームである。
FB神が注目を浴びているが、それはクイックヒットを止められない守
備が悪いからで、本来注意すべきはTB。スピードがありパスキャッチ
も秀でる長岡だ。彼はSBからのリリースもありで要注意。高校時アメ
リカでのプレー経験がある。WRは総じてアベレージ・プラスだが、秋
を越しての伸びしろに期待できる。凄みは無いが、波木のパスアタック
を支えるには十分なレベルと思われる。そして攻撃の要であり、全てと
も言えるQBだ。
波木は40Yを4秒5で走る。ランナーとしては立命の高田と同等。波
木を走らせるプレーを準備している分、ランそのものは目立つ結果とな
っている。高田が1年のデビュー戦で右に流れてからLOSで左にカッ
トを踏み、EZに入ったときには左ハッシュより外だったプレーがあっ
たのをご記憶だろうか。波木はそれと全く同じことが出来る、と考えて
もらえばよい。ランナとしての加速力、視野の広さ、楽にスローバック
でディープを狙う強肩、球速の速さ、ピンポイントできるコントロール。
勝敗はともかく、彼のプレーは(西宮BOWLなどで見ていない人は)
是非見て欲しい。
関東決勝ではSGからQBが積極的に走ったそうだが、これが切り札に
なりそうだ。秋に延びたであろうWR陣がどこまで機能できるかも注目
である。なにせスピード重視のチームは関西には見当たらない。これに
対抗できるかどうかは1Qが終わってみないと分からない。
と、書くと早稲田優位?とも取られかねないが、残念ながらそうではな
い。どうしても波木率いる攻撃に目が行きがちだが、関東の代表に攻撃
力があるのは今に始まった事ではない。フットボールは攻撃だけでする
ものでは無い。勝敗は守備が握る。
Wの守備
姿が見えない。KG戦では「え?そんなムチャなブリッツ、よう仕掛け
るわ」というのがタマにあったが、それが目についた程度。2列目を含
めて、思いの他ペネトレートしてくる。見てから判断する印象が本来あ
ったのだが、実はアタッキング守備もやってくる。DLに生きのよい有
沢がいるが、どこまで通用するかは未知数。しかし入学して2週間のQ
B出原に走られるてしまうのは、まずかろう。なにせこの試合のKGは
練習再開から1週間も経っていなかったのだから。特にDB陣は不安が
残る。KG得意のフェードをフリーにしたり、2年目のWR福井にタテ
で抜かれたりと、結構甘い部分がある。総じて能力の高い選手が揃って
いる法政のほうが守備力としては上かと思われる。特に独特の遅さを持
つ関西の攻撃を相手にどこまで辛抱できるかは未知数だ。
キッキングについては特に触れないが、パント、カバーについては正直
良いとは思えなかった。本来強化すべきポイントだが、未完だと思われ
る。仮に良い勝負をしていても、このあたりから崩れそうな気もする。
展開とスコア
・立命守備が早稲田攻撃のスピードになれる前に1本
・立命のミス絡みで敵陣から攻撃開始で1本
・波木独走絡みで1本
でMAX3TDプラス1FG程度。早稲田攻撃はよく取れて24点か。
早稲田攻撃は波木が楽にプレーできる体型、プレーコールを選択してい
る。彼にベストパフォーマンスを発揮してもらう為にそうしている訳だ。
その一つがSGといえる。同じSGと言えども、その背景、性質は全く
違うものだ。立命SGは攻撃メンバー全てが一つとなって稼動するあく
までシステムであり、早稲田のSGは波木そのものがシステムである。
早稲田攻撃が、「波木と心中」するつもりでは早稲田に勝機は無い。「
波木を使いきる」つもりでプレーコールする必要がある。
立命守備はQBのスプリントに多少は苦戦するだろう。ランパスが機能
すればある程度早稲田は前進できる。立命守備はこれには慌てない事だ。
QBにプレッシャをうまくかければインターセプトラッシュの可能性も
ある。極論すれば波木のスプリントからの展開を抑えれば十分処理でき
る攻撃なのである。一方の早稲田はセットバックをやめて、これにSG
で対抗するだろう。10人ブロッカでこのQBが走れば、まあある程度
は出るだろう。これまでの甲子園と異なりラン、パス自在のスーパーQ
Bがいる分、試合としては楽しめる部分は増えると思う。
断言できるのは
・エール交換で早稲田は校歌を3番まで歌う。
「寒い」「長い」など文句は言わず聞いてあげよう。
・早稲田の完封負けは無い。
甲子園とはそんな所。
・立命のファーストORセカンドポゼッションで必ずロングパスが通る。
京大、KG,いずこも同じ目にあっている。
・仮に点の取り合いになった場合、立命攻撃は甲子園BOWL記録の多
くを塗り替える事になる。
そして勝者は立命である。
なぜって?あなたは今年QB高田鉄男が真剣に走っているところを見た
事がありますか?無いでしょ。
甲子園を知らない者同志という点では五分。舐めたり油断したりという
のは連覇をして初めて口をあける落とし穴だ。今年のこの両チームには
それは無い。
ナイスゲームを期待しています。
以上
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