第七節はこうなる






KG VS 立命館


KG側に立って考えてみよう。                        

シチュエーション的には99年が近いのだろう。しかし大きな違いは立命の攻撃の 
爆発力がケタ違いであり、ショットガンとは言いながら最終的にバランスアタック 
を実現できているところにある。あれだけバランスアタックだのウエストコースト 
だの標榜していた時期には実現できず、アンバランスな体型であるSGを導入して 
実現したという奇妙な状態になっている。                   
この攻撃に対する守備側の明確な回答が無く、バクチ的な守備に期待せざるを得な 
い現状では攻撃の奮起に期待するしかない。ショットガンチームと対戦するときは 
守備がその爆発力を抑えるのではなく、攻撃と守備とキッキングの総がかりで押さ 
え込むしかない。                              

この際だから思い切ったことを考えないと難しいだろう。            

攻撃はラン中心となるだろう。幸い#71,#70を同じサイドにそろえた場合あ 
る程度穴をあける事ができそうだ。インサイドプレーをなんとかひねり出してスト 
レッチにかかりたい。昨年までであればパスを混ぜたストレッチに期待ができたが 
今年はそうはいかない。ランを中心に否ランだけでストレッチする事を考えなけれ 
ばならないだろう。                             
鍵を握るのはQBだ。パスではなくQBのランである。前節に増してQBが走るケ 
ースを増やすだろう。「デザインされたQBのラン」の持つアドバンテージはブロ 
ッカが10枚使えるという点である。そもそもRBの方があたり強く、かつ視野も 
広いというのは当然ではあるが、しかしQBにダウンフィールドを見渡せる視野を 
確保させることが出来れば(走力のあるQBであれば)有る程度走らせることがで 
きる。何が言いたいか。SGからのQBのランである。             
ディフェンダーをストレッチさせてアラインさせる為にWRを大量に且つワイドに 
セットさせたSGからのランパス。ここからQBが走る。タイトなセットからブロ 
ッキングで勝負という手もあるが、バックサイドのディフェンダを殺してシンプル 
な勝負に持ち込むほうが面白い。もちろんSGにセットバックを入れてオプション 
をさせてもよい。ノーフェイクのリードオプションで速い展開で勝負する。前節同 
様WR中島の投入やQB河野のRB起用も当然ありうる。狙いはツインQBによる 
KGオプションである。                           
もちろん1試合を通じて使うとは思えない。セットバック体型からのプレーの方が 
多くなるのは当然だろうが、シチエーションによっては積極的に使うのも手だ。1 
0年前の西宮スタジアムの最終戦をご記憶だろうか。京大QB金岡がSGから走っ 
て走って走りつづけたあの試合だ。ベストランナーの一人であるQBを使い切るあ 
の闘志。あれをイメージいただけると意図するところをご理解いただけると思う。 
ロースコアに持ち込むには3アンドアウトでは問題だ。攻撃の時間消費があって初 
めてショットガン守備が機能する。                      

さて、その守備は「仕掛けて主導権を握れるか」どうかである。         
ショットガン守備の成功のポイントはパスラッシュにおいても、カバレッジにいて 
も変幻自在であることだ。厳密に言うと変幻自在だと思わせて「何をしてくるか分 
からない守備」にしてしまう事。これにより打つ手を失った攻撃側はアドバンテー 
ジを失う。あくまで守備がしかけるのだ。                   
しかし立命SGが従来のSGと異なる点は極論するとランが出る事にある。守備が 
深く構えると見るやヒッチ、スイングでオープンをLBと競争させる。ランのバリ 
エーションも豊富でショベルパスやもちろんセットバック体型からの展開も精度、 
バリエーション含めて充実している。(それを考えると昨年のKG対プリンストン 
のようなイメージになるだろうか。)これが低迷している「現在の」日大SGとの 
違いだともいえる。豊富なプレーバリエーションで守備体型の弱点を突ける。アン 
バランスな守備にせざるを得ない対SG守備の弱みを突ける程のバリエーションと 
精度を持っているという事だ。                        
パスオリエンティッドの攻撃を完成させるには1年では不足している。KG,京大 
がR&Sを1年で放棄してしまったのはスキルUPに時間がかかった点と攻守のタ 
レントの問題で、優勝という課題を考えた際に選択肢から外さざるを得なくなった 
からである。(KGはわずか半年でSGの導入に成功し春の日大戦に競り勝つとい 
う離れ業を見せたが、これも高等部でSGをしこまれた選手が大量に入部してきた 
というアドバンテージがあったからに他ならない。)              
立命はタレント力でやはり抜きん出ており、安定したゲーム運びができる状況にあ 
る。過去2年かけて(実際は2年以上だろうが)SGの精度を高めていく余裕があ 
ったといえる。これを優秀なパッシングユニットのメンバーで取り組むのだから、 
その破壊力や推して知るべしである。                     
話をもどす。昨年来登場した俗称フラット5に代表されるこれまでのSG守備では 
立命のランプレーを抑えきれない。ここはさらに思い切ったアライメントにより再 
び「何をしてくるか分からない守備」を実現するしかない。           
フラット5の対策は立命としてはすでに出来上がっている。ある程度は辛抱できる 
だろうが、これで長時間守りつづけるのは難しい。ここはそれこそセブンディフェ 
ンスのような訳の分からない守備で狂わせるしかない。それこそ4−1−6である。
プレーバイプレーでカバレッジを変更する。同じ攻撃体型だからといって同じ守備 
アサイメントをする訳では無い。DLも同様だ。スナップされるまで誰が何処につ 
くか分からない程めまぐるしく回す。唯一役割を変えないのはLB#5程度にする。
この準備してくるであろう新しい守備陣形へのアジャストに最後まで手間取るよう 
であれば立命苦戦が予想される。                       
これに対する立命攻撃の打開策の鍵は(これもやはり)QBだ。極端な守備アライ 
メントをひいた場合、確かに一見して不気味ではあるのだが、実体は大きく形をゆ 
がめた物ではないという事だ。DLもいればLBもいるし当然DBもいる。これ対 
して力勝負を挑めば、思いのほか楽に打開できる可能性がある。         

この試合は双方のQBが走りまくる思いがけない展開になる可能性がある。力強く 
「これだ」と言い切れないのはKGの攻守のプレーの精度が近年では最も酷い点に 
ある。この程度は出来るだろうというレベルを低く見積もらなければならない。こ 
れでは具体的なプレーや戦略の予想もやりようが無い。というのが本音だ。「引き 
出しの数」合戦もしくは「プレーの精度」合戦である。本来KGの得意な分野であ 
るが、ここまでの負傷者、プレーの精度を考慮するとアドバンテージは少ない。従 
ってKG優位という構図を描くには無理がある。あくまで立命優位と見る。    

西スタ最後の試合である。「あの年の最終戦は凄かったんだぜぇ」と白髪交じりで 
孫に言って聞かせたい。そんな試合、ナイスゲームを期待しています。      



                         以 上         



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